オーストラリア大陸を横断する伝説の歴史的列車「ザ・ガン」の食堂車とは?砂漠を走る豪華鉄道の歴史
広大な赤い大地を駆け抜ける一本の列車――。
それが、オーストラリアを代表する
長距離鉄道
ザ・ガン(The Ghan)です。
南の都市アデレードから、
中央砂漠地帯を越え、
北部ダーウィンへ。
約3,000km以上を数日かけて横断するこの列車旅は、
「世界屈指の鉄道旅」とも呼ばれています。
そして多くの旅人が憧れるのが、
ザ・ガンの豪華な“食堂車”です。
「The Ghan(ザ・ガン)」という不思議な名前。
実はこれは、
19世紀にオーストラリア内陸部で活動した
アフガニスタン人ラクダ隊に由来します。
当時、
オーストラリア中央部は鉄道も道路も未整備。
そこで砂漠輸送を支えたのが、
ラクダを操るアフガン系移民たちでした。
人々は彼らを親しみを込めて
「The Afghan Express」
そして略して「The Ghan」と呼ぶようになります。
つまりこの列車名には、
“砂漠開拓の歴史”そのものです。
オーストラリア大陸を縦断する夢の鉄道
The Ghanは現在、
• アデレード
• アリススプリングス
• キャサリン
• ダーウィン
などを結びます。
車窓には、
• 赤い砂漠
• 巨大な岩山
• 果てしない荒野
• 南十字星の夜空
といった、
“オーストラリア”を代表する風景が広がります。
飛行機では絶対に味わえない、
ゆっくりと大陸を横断する旅。
それがザ・ガン最大の魅力です。
ザ・ガンで特に有名なのが、
豪華なダイニングカー(食堂車)。
まるで高級ホテルのレストランのような空間で、
オーストラリア各地の食材を使った料理が提供されます。
メニューには、
• オージービーフ
• バラマンディ(高級白身魚)
• ラム肉
• 南オーストラリア産ワイン
• 現地チーズ
などが並びます。
砂漠の真ん中を走る列車で、
ワインを飲みながら夕日を見る――。
これが世界中の鉄道ファンを魅了しているのです。
20世紀初頭、
長距離列車は単なる移動手段ではありませんでした。
特に広大な国では、
鉄道そのものが「社交空間」でもあったのです。
ザ・ガンの食堂車でも、
• 探検家
• 政治家
• 富裕層旅行客
• 鉱山関係者
などが食卓を囲ったと言われます。
長い旅だからこそ、
乗客同士の交流も生まれる。
それは現代の飛行機移動にはない、
“古き良き旅”の文化でした。
もちろん、
中央オーストラリア横断は簡単ではありません。
かつての路線では、
• 洪水
• 砂嵐
• 猛暑
• 線路問題
などが頻発しました。
特に旧路線は「洪水で止まる列車」としても有名で、
時には数日立ち往生することもあったそうです。
しかし、
その過酷ささえも、
ザ・ガンを“伝説の列車”にした理由でした。
世界でも希少になった「食堂車文化」
現代では高速鉄道やLCC航空の普及により、
長距離寝台列車そのものが減少しています。
その中で、
The Ghanのように、
• 豪華食堂車
• 寝台
• ラウンジ
• 数日かける旅
を維持している列車は、
世界的にも貴重な存在となりました。
単なる移動ではなく、
「旅そのものを楽しむ文化」が残されているのです。
オーストラリア中央部には、
今でも広大な“何もない世界”が広がっています。
そんな大地を貫くザ・ガンは、
• 開拓史
• 移民史
• 鉄道史
• 砂漠文化
を象徴する存在でもあります。
そして食堂車は、
その長い旅路の中で、
人々に「豊かさ」と「ロマン」を与え続けてきました。
参考文献
• Patsy Adam-Smith『The Ghan』
• Steve Meacham『The Great Railway Journeys of Australia』
• オーストラリア政府観光局資料
• Great Southern Rail公式資料
• 宮脇俊三『世界の鉄道紀行』

