最後のヴァイキング ハーラル・ハードラーダ――「世界を渡り歩いた戦士王」の生涯
北海の荒波を越え、東ローマ帝国で戦い、そしてイングランド王国へ侵攻した男――。
その名は
ハーラル・ハードラーダ。
彼はしばしば、
「最後のヴァイキング」
と呼ばれます。
なぜなら彼の人生は、まさにヴァイキング時代そのものだったからです。
略奪。
冒険。
傭兵戦争。
王位争い。
そして栄光と死。
今回は、“世界史上もっともロマンに満ちた王”とも言えるハーラル・ハードラーダの生涯を追います。
“ハードラーダ”とは何者か?
ハーラル・ハードラーダは、11世紀のノルウェー王です。
「ハードラーダ」とは、
「苛烈なる支配者」
という意味。
その異名からも、彼の激しい人生が伝わってきます。
彼は若い頃から戦場に立ち、わずか15歳で大戦争に巻き込まれました。
ヴァイキング時代とは?
ヴァイキングと聞くと、
• 斧を持つ戦士
• 海賊
• 略奪者
をイメージする人も多いでしょう。
しかし実際のヴァイキングは、
• 商人
• 探検家
• 傭兵
• 植民者
でもありました。
彼らは船で世界を渡り、
• イングランド
• フランス
• ロシア
• 地中海
にまで進出していたのです。
ハーラル・ハードラーダは、その“最後の黄金時代”を生きた男でした。
東ローマ帝国で戦ったヴァイキング
若きハーラルは戦いに敗れ、故郷を追われます。
しかし彼はそこで終わらなかった。
彼が向かった先は、
東ローマ帝国(ビザンツ帝国)
でした。
当時、東ローマ帝国には、
「ヴァリャーグ親衛隊」
という北欧戦士の精鋭部隊が存在していました。
つまり、
“ヴァイキングの傭兵軍団”
です。
ハーラルはそこで頭角を現し、
• 地中海
• シチリア
• 中東方面
で戦います。
まるで映画の主人公のような人生です。
莫大な財宝を得た戦士王
東ローマ帝国での戦いにより、ハーラルは莫大な富を得たとされています。
当時のビザンツ帝国は、ヨーロッパ随一の大国。
つまり彼は、
「世界最高レベルの戦場」
で戦っていたのです。
この経験によって、ハーラルは単なる北欧戦士ではなく、
“国際的な軍事王”
へ成長していきました。
ノルウェー王へ
その後ハーラルは故郷へ戻り、王位争いを経てノルウェー王となります。
彼は強力な軍事力で国内を支配し、王権を強化していきました。
しかしハーラルは、
「北欧だけ」
では満足しなかった。
彼はさらに大きな野望を抱きます。
イングランド侵攻
1066年。
ハーラル・ハードラーダは、
イングランド王位
を狙い、大軍を率いて侵攻します。
これはヴァイキング史上最後の巨大遠征とも言われています。
しかし待っていたのは激戦でした。
スタンフォード・ブリッジの戦い
ハーラル軍は当初優勢でした。
しかしイングランド王
ハロルド2世
の奇襲によって状況は一変。
1066年、
スタンフォード・ブリッジの戦い
で、ハーラル・ハードラーダは戦死します。
伝承では、喉に矢を受けて倒れたとも言われています。
なぜ“最後のヴァイキング”なのか?
ハーラルの死は、単なる王の死ではありませんでした。
この戦い以降、
「ヴァイキング時代の終焉」
が訪れたとされるのです。
その後のヨーロッパは、
• 王国
• 騎士
• 封建制度
の時代へ変わっていきます。
つまりハーラルは、
“海を越えて世界を暴れ回った時代”
最後の象徴だったのです。
ハーラル・ハードラーダの魅力
彼の人生が面白いのは、
「スケール」
です。
• 北欧
• ロシア
• 東ローマ帝国
• 地中海
• イングランド
を渡り歩いた。
現代で言えば、
“世界中の戦場を旅した戦士王”
です。
しかも、
• 傭兵
• 亡命者
• 将軍
• 王
という、あまりにも劇的な人生を送っています。
だからこそ、今もなお世界中で人気が高いのです。
Netflix『ヴァイキング』との関係
近年では、
Vikings: Valhalla
などの影響で、ハーラル・ハードラーダの知名度も上がりました。
ドラマでは、
• 野心
• カリスマ性
• 戦士としての強さ
が描かれ、まさに“ヴァイキング最後の英雄”として表現されています。
まとめ
ハーラル・ハードラーダとは、
「ヴァイキング時代そのもの」
を体現した人物でした。
海を越え、帝国を渡り歩き、最後まで戦い続けた男。
その生涯は、まるで神話の英雄譚のようです。
そして彼の死とともに、“ヴァイキングの時代”もまた終わりを迎えたのでした。
参考文献
• 池上俊一『ヴァイキングの歴史』創元社、2017年
• Gwyn Jones, A History of the Vikings, Oxford University Press, 2001
• Else Roesdahl, The Vikings, Penguin Books, 1998
• Snorri Sturluson, Heimskringla(『ヘイムスクリングラ』)
• F. Donald Logan, The Vikings in History, Routledge, 2005
