「キングダム」桓騎のモデル?!賊から“大将軍”になった男たち―甘寧とドレイクの生き様
荒々しい言動。
常識に縛られない戦い方。
そして“ならず者”から英雄へ――。
『キングダム』に登場する人気武将・桓騎(かんき)を見ていると、ふとこう思う人もいるかもしれません。
「実際の歴史にも、海賊や盗賊から成り上がった武将っていたのでは?」
実は世界史・中国史には、
“賊”から国家の将軍へと上り詰めた人物が存在します。
今回はその代表として、
• 三国志の猛将「甘寧(かんねい)」
• 大航海時代の海賊提督「フランシス・ドレイク」
を紹介します。
■ 甘寧――鈴を鳴らす“川賊”だった男
三国志に登場する武将・甘寧は、
もともと長江流域で暴れていた“川賊”でした。
若き日の甘寧は派手好きで、
部下たちは豪華な衣装をまとい、船には鈴を付けていたと言われています。
敵に襲いかかるたび、
シャリン、シャリン……
と鈴の音が響いたことから、
「錦帆賊(きんぱんぞく)」
と恐れられました。
まさにアウトロー。
『キングダム』の桓騎軍のような、
“無法者集団”を思わせる存在です。
■ だが彼は「呉」の英雄となる
しかし甘寧はただの盗賊では終わりませんでした。
やがて彼は才能を認められ、
孫権率いる「呉」に仕えることになります。
そして――
• 黄祖軍撃破
• 赤壁の戦い
• 合肥戦線
などで大活躍。
特に有名なのが、
わずか百人で敵陣夜襲を成功させた戦い
です。
大胆不敵な奇襲戦法は、
まさに桓騎を思わせます。
孫権はその武勇を高く評価し、
「孟徳(曹操)には張遼がいる。
だが、我には甘寧がいる!」
と語ったとも伝わります。
賊だった男は、
ついに国家を代表する猛将となったのです。
■ フランシス・ドレイク――“国家公認海賊”
もう一人紹介したいのが、
16世紀イングランドの海の英雄、
フランシス・ドレイク
です。
彼はスペイン船を襲撃する“私掠船(しりゃくせん)”の船長でした。
簡単に言えば、
「国から許可を受けた海賊」
です。
当時のイングランドは、
世界最強だったスペインと対立していました。
そこで女王エリザベス1世は、
• スペイン船を襲う
• 財宝を奪う
• 海上覇権を崩す
役目をドレイクに与えたのです。
■ 海賊から「提督」へ
ドレイクは次々とスペイン船を撃破。
さらに世界周航を成功させ、
イングランド国民の英雄となりました。
そして1588年――。
スペインの無敵艦隊がイングランド侵攻を開始。
この国家最大の危機で、
ドレイクは海軍提督として出陣します。
結果は、
イングランドの歴史的大勝利。
海賊だった男は、
ついに国家を守る将軍になったのです。
■ 桓騎と共通する“アウトローの強さ”
『キングダム』の桓騎もまた、
• 元野盗
• 常識外れ
• 残虐
• 奇襲戦法
• 心理戦
を武器に成り上がった人物でした。
もちろん甘寧やドレイクが
直接のモデルとは断定できません。
しかし歴史を見ると、
「秩序の外にいた者」が、
戦乱の時代に英雄になる
という例は確かに存在します。
乱世では、
既存のルールに従う者より、
• 常識を疑える者
• 恐怖を利用できる者
• 危険を恐れない者
が勝つことがあるのです。
■ なぜ“ならず者”は強いのか?
海賊や盗賊は、
そもそも「生き残り」がすべての世界です。
彼らは、
• 奇襲
• 撤退判断
• 情報戦
• 恐怖演出
• 統率
に長けています。
これはまさに、
戦場で求められる能力でもありました。
だからこそ歴史上には、
“アウトロー”から英雄へ
転じた人物が何度も現れたのです。
■ 歴史は“綺麗な英雄”だけではない
私たちはつい、
歴史上の英雄を「正義の人物」と考えがちです。
しかし現実には、
• 海賊
• 野盗
• 傭兵
• 反乱者
だった人物が、
国家を救う英雄になることもありました。
甘寧もドレイクも、
時代が違えば単なるアウトローだったかもしれません。
ですが乱世は、
そうした“危険な才能”を必要としたのです。
そしてそれこそが、
桓騎というキャラクターが人を惹きつける理由なのかもしれません。
■漫画『キングダム』を読んで桓騎をもっと知ろう
桓騎が実際に活躍する回はこちら!

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参考文献
• 陳寿『三国志』
• 裴松之注『三国志注』
• 北方謙三『三国志』角川春樹事務所
• 松田十刻『世界史を変えた海賊』光文社
• ジョン・ガイ『チューダー朝』白水社
• 岩波書店『世界歴史大系 イギリス史』

